【導入部分】

相続トラブルを防ぐために有効な方法として知られている「自筆証書遺言」ですが、法律で定められた方式を一つでも欠いてしまうと、遺言書全体が無効になってしまうおそれがあります。

せっかく家族のために残した遺言書が、形式や書き方のミスによって使えず、かえって家族間の争いを招いてしまうケースは、実務上決して珍しくありません。実際に、銀行や法務局で相続手続きが進められず、困って相談に来られる方も多くいらっしゃいます。

この記事では、行政書士の立場から、自筆証書遺言が無効になる主な原因と、実務でよく見かける典型的なミス、そしてそれを防ぐための対策について詳しく解説します。

これから遺言書を作成しようとしている方、すでに自筆証書遺言を書いたものの内容に不安がある方は、ぜひ参考にしてください。

自筆証書遺言が無効になる主な原因とは?

1.形式不備(日付・署名・押印のミス)

自筆証書遺言は、民法で定められた厳格な方式を守らなければなりません。特に、次の3点は一つでも欠けると遺言書全体が無効となります。

  • 日付の記載 「〇年〇月吉日」「〇月某日」といった曖昧な記載は無効です。「2026年1月2日」のように、年月日を特定できる形で正確に記載する必要があります。
  • 署名 遺言者本人が、自筆で氏名を記載する必要があります。パソコンでの記名やゴム印は認められません。
  • 押印 法律上は認印でも有効ですが、なりすまし防止や手続きの円滑化の観点からは、実印での押印が実務上は望ましいといえます。

2.財産目録以外は「全文自筆」でなければならない

法改正により、財産目録(不動産や預貯金の一覧)については、パソコン作成や通帳コピーの添付が認められるようになりました。ただし、次の点には注意が必要です。

  • 遺言の本文(誰に何を相続させるかという意思表示部分)は、今も本人の全文自筆が必要
  • 財産目録を添付する場合、各ページ(裏表両面にある場合は両面)に署名・押印が必要

このルールを誤解して、本文までパソコンで作成してしまい、無効になるケースは今もなお非常に多く見られます。

3.内容が不明確で特定できない

例えば、「長男に自宅を譲る」「預金は妻に任せる」といった表現では、どの不動産・どの預金を指すのか客観的に特定できず、相続手続きが止まってしまうことがあります。結果として、遺言書があっても遺産分割協議が必要になり、トラブルの原因になることもあります。

行政書士の視点で見る「よくあるミス」

不動産の表示を「住居表示」で書いてしまう

実務で特に多いのが、不動産の表示を普段使っている住所(住居表示)で記載してしまうケースです。 遺言書では、登記簿謄本(全部事項証明書)に記載されている「地番」や「家屋番号」をもとに記載することが重要です。記載が不正確だと、法務局での相続登記がスムーズに進まないリスクがあります。

曖昧な配分指定

「家族で仲良く分けてほしい」といった表現は、法的な遺言としては不十分です。 遺言書では、「誰に」「どの財産を」「どれだけの割合で」具体的に指定することが鉄則です。曖昧な表現は、かえって相続人同士の争いを招く原因になります。

自筆証書遺言を正しく残すためのポイント

自筆証書遺言書保管制度を活用する

2020年から始まった、法務局による自筆証書遺言書保管制度を利用すると、次のようなメリットがあります。

  • 紛失・改ざんの防止
  • 形式面の外形的チェックを受けられる
  • 死後の家庭裁判所での「検認」が不要になり、すぐに相続手続きができる

公正証書遺言という選択肢

より確実性を重視するのであれば、公証人が関与して作成する「公正証書遺言」という方法もあります。

  • 原本が公証役場に保管される
  • 方式不備による無効のリスクが極めて低い
  • 病気等で自筆が困難な方でも作成できる 費用はかかりますが、法的安全性の高さという点では最も確実な方法といえます。

自筆証書遺言で失敗しないためのチェックリスト

  • [ ] 日付は年月日まで特定されているか(「吉日」はNG)
  • [ ] 署名と押印はあるか(実印を推奨)
  • [ ] 財産目録以外の本文はすべて自筆か
  • [ ] 財産は「地番」等で客観的に特定できる内容か
  • [ ] 予備的遺言(相続させる相手が先に亡くなった場合、誰に渡すか)を検討しているか

まとめ

自筆証書遺言は、手軽に作成できる反面、一つの形式ミスで無効になるリスクを常に伴います。「書いたから安心」ではなく、「本当に手続きに使える遺言かどうか」を意識することが重要です。

行政書士に相談する理由(当事務所の方針)

遺言書は、一度作成すれば原則として書き直しが効かず、相続発生後に修正することはできません。だからこそ、確実性が何より重要です。

当事務所では、自筆証書遺言の作成支援は行っておらず、公正証書遺言のみを取り扱っています。

これは、依頼者様とご家族にとって、無効リスクや将来の紛争を最大限回避できる方法だと考えているためです。公正証書遺言であれば、法的有効性が極めて高く、相続手続きがスムーズに進み、ご家族の精神的・時間的負担を大幅に軽減できます。

「確実に想いを残したい」「家族に迷惑をかけたくない」とお考えの方は、ぜひ公正証書遺言の作成をご検討ください。当事務所では、原案作成から公証役場との調整まで一貫してサポートしております。

初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。

公正証書遺言のご相談は、お気軽に当事務所にお問い合わせください。 

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行政書士にしやま事務所