はじめに:あなたも「遺言書は早い」と思っていませんか?

「うちは資産が少ないから、遺言書なんて必要ない」 「まだ元気だし、遺言書を考えるのは何年も先でいい」 もしあなたがそう思っているなら、この記事をぜひ最後までお読みください。

「いい遺言の日」に発表されたAuthense法律事務所の調査(遺言書年報2025)によると、遺言書を作成しない理由の第1位は「自分の遺産が少ないから」(22.5%)、第2位は「まだ健康だから」(18.9%)でした。

しかし、この2つの理由は、実は大きな誤解に基づいているのです。 この記事では、日頃から相続手続きのお手伝いをしている行政書士の立場から、遺言書を後回しにしてしまうリスクについて、皆様と一緒に考えていきたいと思います。

1. 遺言書を作らない日本人の「2大誤解」とは?

誤解①「資産が少ないから、相続トラブルは起きない」 多くの方が「うちは大した財産がないから、揉めるはずがない」と考えています。しかし、現実はまったく違います。 同調査によると、親の相続を経験した50歳以上の方のうち、「資産500万円未満」でも6.3%、「資産500万~1,000万円」でも9.7%がトラブルを経験しています。 つまり、資産が少なくても相続トラブルは十分に起こり得るのです。むしろ、資産が少ないからこそ、「誰が何をもらうか」「実家をどうするか」といった問題で、感情的な対立が起きやすいとも言えます。

誤解②「まだ健康だから、遺言書は早い」 「今は元気だから、もう少し歳を取ってから考えよう」と思う方も多いでしょう。しかし、ここに大きな落とし穴があります。 遺言書を作成するには、本人に「判断力(意思能力)」が必要です。認知症などで判断力が低下すると、公正証書遺言であっても無効になる可能性があります。 厚生労働省の推計によれば、2030年には65歳以上の約5人に1人が認知症になると予測されています。つまり、「健康なうち」こそが、遺言書を作成する最適なタイミングなのです。

2. 相続トラブルは「お金持ち」だけの問題ではない

私自身、新潟県内で多くの相続・終活のご相談を受けておりますが、新潟という土地柄、評価額は低くても「代々受け継いだ実家の土地や農地」の分け方で、ご兄弟間の関係が修復不可能になってしまうケースを本当に多く見てきました。

【事例1】実家の土地をめぐる兄弟の対立 親が残した資産は、築40年の実家と預貯金200万円のみ。長男は実家に住み続けたいと主張し、次男は「売却して現金で分けるべき」と主張。結果、兄弟の関係は修復不可能になりました。

【事例2】葬儀費用の負担で揉めた姉妹 親の遺産は預貯金300万円。しかし葬儀費用が100万円かかり、「誰が負担するか」で姉妹が対立。感情的なしこりが残りました。

相続トラブルの本質は、「お金」ではなく「感情」です。「自分の方が親の面倒を見た」「兄だけが援助を受けていた」といった感情的な対立が、家族の絆を壊してしまうのです。

3. 「健康なうち」に準備しないと手遅れになる理由

認知症になると「有効な」遺言書は作れない 遺言書が法的に有効となるためには、作成時に本人に確かな「意思能力」が必要です。 認知症が進行して判断力が低下すると、公正証書遺言を作ろうとしても、公証人から「意思能力がない」と判断され、作成を拒否されてしまいます。 また、自分で書く「自筆証書遺言」であっても、死後に相続人から「この時はもう認知症だったはずだ!」と裁判で無効を主張され、せっかくの遺言が紙くずになってしまう(争いの火種になる)リスクが極めて高くなります。

突然の事故や病気のリスク 「まだ若いから大丈夫」と思っていても、突然の事故や病気で意思疎通ができなくなることもあります。そうなってからでは、もう遺言書は作れません。遺言書は、いつでも書き直すことができます。つまり、「早すぎる」ということはありません。冷静に考えられる今こそが、最適なタイミングなのです。

4. 遺言書があることで防げる「家族の不幸」

遺言書には大きく3つのメリットがあります。 ① 家族間のトラブルを未然に防ぐ(親の意思が明確になる) ② 相続手続きがスムーズになる(遺産分割協議の手間が省ける) ③ 家族への「最後のラブレター」になる

もしご自身が逆の立場で、親から『兄弟仲良く支え合ってほしい』というメッセージの込められた遺言書を受け取ったら、どれほど心強いでしょうか。財産を分けるだけでなく、あなたのその温かい想いこそが、ご家族にとって一番の贈り物になるはずです。

5. 遺言書作成は難しくない!今すぐできる3つのステップ

ステップ①「誰に、何を残すか」を考える まずは自分の財産(不動産、預貯金など)を整理し、誰に残したいかを考えます。

ステップ②遺言書の種類を選ぶ 自筆証書遺言(手書き)、公正証書遺言(公証役場で作成)、法務局保管制度の主に3種類から、ご自身に合ったものを選びます。

ステップ③専門家に相談する 遺言書の作成は、「遺留分」などの法律的な配慮が必要です。行政書士などの専門家に相談することで、無効にならない確実な遺言書を作成できます。

6. まとめ:遺言書は「家族への最後のラブレター」です

「資産が少ないから」「まだ健康だから」と先延ばしにしている方はとても多いです。しかし、相続トラブルは資産の多寡に関わらず起こります。 残されるご家族に『揉めずに、いつまでも仲良く暮らしてほしい』。遺言書は、そんなあなたの優しい願いを確実に形にするための、最も大切な準備です。
あなたも、大切なご家族の笑顔を守るために、今できることから少しずつ始めてみませんか?

初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。

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行政書士にしやま事務所