近年、
「自分の意思を家族にきちんと伝えておきたい」
「相続で家族が揉めるのは避けたい」
という思いから、遺言書をご自身で作成される方が増えています。
自筆証書遺言は、費用をかけずに手軽に作成できる点が大きなメリットです。一方で、法律で定められた形式要件を一つでも欠くと、遺言書全体が無効となってしまうという重大なリスクがあります。実際に、「せっかく書いた遺言が使えず、かえって相続トラブルの原因になってしまった」というケースも少なくありません。
この記事では、相続実務に携わる行政書士の立場から、失敗しない自筆証書遺言の基本要件や注意点、さらに2019年の法改正以降の新しいルールについて、分かりやすく解説します。
自筆遺言が「家族を守る」ために重要な理由
遺言書がない場合、相続人全員で「遺産分割協議」を行う必要があります。しかし、たとえ普段は仲の良い家族であっても、いざ財産の分け方を話し合う段階になると、意見が対立してしまうことは決して珍しくありません。
自筆遺言を残しておくことで、
「誰に、何を、どのように相続させるのか」
を明確に示すことができ、残されたご家族は無用な争いを避けながら、相続手続きを円滑に進めることができます。
行政書士が解説!自筆遺言の基本要件
自筆証書遺言を法的に有効なものとするためには、民法で定められた次の要件をすべて満たす必要があります。
① 全文を本人が自書すること
原則として、パソコンで作成した文章や第三者による代筆は無効となります。
② 日付を正確に記載すること
「令和8年1月26日」のように、特定できる日付を記載する必要があります。
「〇月吉日」といった曖昧な表現は無効です。
③ 氏名を自書すること
④ 押印すること
認印でも有効とされていますが、なりすまし防止の観点から実印を使用することを強くおすすめします。
【重要】2019年の法改正で書きやすくなりました
以前は遺言書のすべてを手書きする必要がありましたが、2019年の法改正により、
「財産目録(預貯金の一覧や不動産の明細)」に限っては、パソコンでの作成や、通帳のコピー・登記事項証明書の添付が認められるようになりました。
ただし、財産目録の各ページごとに署名と押印が必要となるため、注意が必要です。
自筆遺言が無効になる・揉める典型例
実務の現場では、次のような点が原因でトラブルに発展するケースが多く見られます。
- 内容が曖昧
「長男に多めに譲る」など、具体性に欠ける表現では、金融機関や法務局での手続きができません。 - 遺留分(いりゅうぶん)への配慮不足
特定の相続人に一切財産を渡さない内容は、遺留分侵害額請求を招き、死後の紛争に直結します。 - 訂正方法の誤り
修正液や二重線だけの訂正は無効です。法律で定められた正式な訂正方法があります。
自筆遺言と併せて検討すべき「法務局保管制度」
2020年から始まった自筆証書遺言保管制度の活用を強くおすすめします。
この制度には、次のようなメリットがあります。
- 紛失・改ざん・破棄のリスクがない
遺言書の原本を法務局で安全に保管してもらえます。 - 形式チェックが受けられる
提出時に形式面の確認が行われるため、無効リスクを大きく減らせます。 - 家庭裁判所での「検認」が不要
通常の自筆遺言では必要となる検認手続き(数か月かかることもあります)が不要になります。
まとめ:早めの準備が「家族の笑顔」を守ります
遺言書は、万が一のときにご家族を守るための「最後のラブレター」です。
「まだ先の話」と先延ばしにせず、気力・体力に余裕のあるうちに準備しておくことが、将来の安心につながります。
初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。
ご相談は、お気軽に当事務所にお問い合わせください。
☟